EditRegion5
オーストラリアワイン事典 Introduction ニュー・サウス・ウェイルズ州 ヴィクトリア州 南オーストラリア州 西オーストラリア州 マレー河流域地帯 著名ワイナリー SiteMap ワイン事典シリーズフランス事典イタリアワイン事典 トイツワイン事典カリフォルニアワイン事典チリワイン事典
ワインの歴史

Barossa Valley  (バロッサ・ヴァレー)

Barossa Valley(バロッサ・バレー)は、オーストラリアで最大の高級ワイン産地である。ノース・バラ川沿いに30km近くに渡って延々と畑が続き、東隣のEden Valley(エデン・バレー)近くまで広がっている。
標高230mのリンドックから550mの東のバロツサ山脈まで、葡萄畑一色である。 州都・アデレードから北方約60kmに位置しているから、アデレードからの観光客も多く、一大観光地帯をも形成している。その中心の町はNurioofpa(ヌーリオッパ)
州都・アデレードが、ドイツ語で「貴婦人」を意味する言葉であることが示すように、隣接するこの地も、ドイツ移民の入植者が多く、共同体意識が強く勤勉な気質が残っている。
建物やブドウ畑などはドイツ風で全体としてドイツの面影を偲ばせるものがある。しかし、バロッサ・バレーを過ぎて山を越すと、風景は一変し、オーストラリア特有の乾燥した大平原が果てしなく展開している。

Barossa Valley

バロッサ・バレーには、オーストラリアを代表する大手のワイナリーが集中している。 Orlando Wyndham(オーランド・ウィンダム)Penfolds Wines(ペンホールズ)Seppelt Winery(セッペルト)Wolf Blass(ウルフ・プラス)Yalimba(ヤルンバ)など、世界的によく知られたワイナリーが軒を連ねている。この地の大手ワイナリーが、オーストラリアのワインの50%以上を生産している。

しかし、バロッサ・ヴァレーで栽培される葡萄で造るワインの生産量は10%程度でしかなく、バロッサ・ヴァレーにある、これらの大手ワイナリーは、隣接するEden Valley(エデン・バレー)などの冷涼な地帯のブドウを取り入れてワイン生産を行っている。特に、近くの灌漑地帯のRiverland(リバーランド)は機械化された広大な葡萄畑で大量に生産されることから、ここから、大量の原料用のブドウやバルクワインが送り込まれている。
この傾向を、「大手ワイナリーは商業主義に走り過ぎていて、経済効率優先のブレンドが行われるので、ワインの風味は絶えず変化している。バロッサ・ヴァレーのテロワールを活かした、1970~80年代にかけて確立したバロッサのワイン造りの精神と誇りを失いつつある」と嘆き、批判する見方をする人もいる。

気候は、低地の気温はやや温暖、標高の高い所は、比較的冷涼。ただし、昼夜の気温差が激しく、最高気温は高め、日照時間は長く、降雨量が少なく、湿度は低い。
土壌は、大きく分けて2種類で、1つは茶色の壌土砂土や埴壌土。もう1つはより砂状の茶褐色から濃い灰色の土壌。両方とも、肥沃度は低く、深くなるにつれ酸度が増す。
この土壌と気候が、フルボディの赤ワイン、上質の酒精強化ワイン、しっかりとした構造の白ワインを生む環境を作っている。

赤ではシラーズが伝統的な品種であり、Penfolds(ペンホールズ)のフラッグシップ・ワインの「Grange(グランジ)」がこの品種から造られている。シラーズは、厳しい検疫が課せられてきていたため、州内はまだフィロキセラに汚染されていないから、100年以上の古木があり、世界で最も特徴のあるワインスタイルの一つである凝縮度の高いバロツサ・シラーズを生み出している。
カベルネ・ソーヴイニヨン種については、Eden Valley(エデン・バレー)ー、McLaren Vale(マクラーレン・ヴュール)Coonawarra(クーナワラ)産のものとブレンドされ、よりバランスのとれた上質のワインとすることが多い。
白ワインでは、ライン・リーズリングから上質のワインが造られ、その香りには定評がある。しかし、シャルドネについては、バロッサ・バレーでは、今のところライン・リーズリングに押されている。

オーストラリアの特徴とも言えるが、バロツサのワイン生産者の中には、酸だけでなくタンニンを加える所もある。バロツサの赤はアメリカン・オークの樽で寝かせて発酵を仕上げ、くらくらするような甘さと滑らかさを備えていることが多い。現在は、フレンチ・オークの樽を使う生産者も増加している。ここにも、ひとつのスタイルに固執せず、絶えず進化を求めるオーストラリアの生産者の姿勢がうかがえる。もうひとつの流行は、シラーズをヴイオニュと一緒に発酵させ、香りと色の安定性を加えている。

*バロツサ地帯は隣接する2つのワイン産地を包括する呼称なので、“Barossa(バロツサ)”とだけ記されているラベルなら、バロツサ・ヴァレーとエデン・ヴアレーの葡萄をブレンドしたものだろう。