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ワインの歴史

ヴィクトリア州ワイン地図

ビクトリア州は、19世紀半ばのゴールドラッシュでワイン産業が興隆し、ワイン産出量、および英国向け輸出量が国内最多で、「John Bull's Vineyards(英国民のブドウ畑)」と言われる程であった。しかし、19世紀末のフィロキセラの襲来により葡萄畑は壊滅してしまった。復活したのは1980年代のワインブーム時期である。それが、古い産地でありながら、現在、南オーストラリア州の半分にも満たない生産量である大きな理由である。

現在、州北西部(North West Victoria)の灌漑を必要とするMurrayDarling(マレー&ダーリング川流域)で、州内の80%に当たる葡萄が栽培されている。しかし、ビクトリア州は、オーストラリア大陸で、最も涼しい州で、葡萄の生育条件は非常に多彩な州であり、栽培地としての歴史も持つから見直され、ここ30年間で、Yarra Valley(ヤラ・ヴァレー)など古い産地はもとより、新しい地域も開発され、ワイン産地として新たな発展を見せている。

主要産地は、メルボルンの北東に広がるYarra Valley(ヤラ・ヴァレー)、対岸に位置するGeelong(ジロング)、その背後の新興の地Grampians(グランピアン)Pyrenees(ピレネー)(以上は別ページにした)に、ヤラ・ヴァレーの背後内陸部の、Goulburn Valley(ゴールバーン・ヴァレー),Rutherglen(ラザーグレン)であろう。
近年、より冷涼な気候で、オーストラリア最大の島・Tasmania (タスマニア島)(別ページ)も重要視されている。

 

Goulburn Valley (ゴールバーン・バレー)

Goulburn

この地は、オーストラリアのワイン産地の中でも美しい景観を持つところで、田園の風景もイギリスを思わせるところがある。この地方は、内陸地方の谷底の気候で、昼夜の気温差は激しいが、ゴールバン川が造った湖や小川により、川沿いは多少緩和される。
灌漑用水は豊富で、アンズ、サクランボなどの果物も多く栽培されている。
この地を特徴付ける一つだが、栽培主品種がローヌ系が占めている。1930年代からのマルサンヌに始まり、ヴィオニエ、ルーサンヌ、シラー、ムールヴェードルと続いた。

ワインは高品質の赤及白のワインができる。この地では、フィロキセラの被害を凌いだTahbilk Wines(タビルク)のみが、長い間唯一のワイナリーであった。1860年に設立されたタビルクにはシラーやマルサンヌの古木があり、これから個性ある高級ワインが造られている。白のライン・リーズリングも評価は高い。
また、木とレンガでできた創業当時の建物も残されており、文化財に指定されている。
ゴールバーン・バレー中央で、もう一つの大きなワイナリーは、Mitchelton Wines(ミッチェルトン)である。1974年創業で、タビルクが伝統を重んずるワイナリーであるとすれば、ミッチェルトンは典型的に近代的なワイナリーと言える。大きなタワーのセラーを建て、その周辺に巨大プール、ピクニック場、バーベキュー施設などを備えて、多くの観光客を受け入れることができるようになっている。ワインの生産量は多く、ライン・リーズリング、シャルドネ、セミヨンからの白と、シラーズ、カベルネからの赤ワインが造られている。
なお、ローヌ品種系のマルサンヌ、グルナッシュ及びヴィオニェの三種のブレンドの白ワインも造られている。

ゴールバンの南に位置するUpper Goulburn (アッパー・ゴールバン)は、その間に、別のGI、Strathbogie Ranges(ストラスボーギ・レーンジズ)を挟んでいるが、共に標高の高い山岳地帯と言える地形で、大半の畑は標高が高く(3~500m)。より冷涼な気候で上質のワインが造られている。Domaine Chandon(ドメーヌ・シャンドン)のブドウ園が有名だが、この地はメルボルンのリゾート地でもある。

 

Rutherglen ・ Glenrowan  (ラザーグレン・グレンロワン)

この北東部の産地は、北がRutherglen(ラザーグレン)Glenrowan(グレンロワン) 、南が標高の高いKing Valley(キング・ヴァレー)Alpine Valley(アルパイン・ヴァレー)Beechworth(ビーチワース)に分かれている。

Rutherglen

この地は、相対的に、夏の日中は焼けつくような暑さであるが、夜はかなり涼しくなるので、基本的には重い赤ワインあるいは酒精強化ワインの生産に適した地域である。
歴史的には、19世紀末、この地域のラザーグレンでのゴールドラッシュによって人口が集積した。それに伴いドイツ人によって始められたワイン生産が急速に拡大した。

現在、中堅ワイナリーとして活躍しているCampbells Wines(キャンベルズ)Chambers(チェンバーズ)Morrisモーリス)などのワイナリーは、この地域を襲ったフィロキセラの害を乗り越え、ワイン造りの伝統を守ってきている。
この産地にあって、特異な存在は、本拠をKing Valley(キング・ヴァレー)に持つBrown Brothers(ブラウン・ブラザーズ)である。第二次大戦後、二代目のジョン.ブラウンは、テーブルワインの生産の可能性を早くから確信し、この地の標高の異なる地点にブドウを植え、適する品種と土地の選択を行い、テーブルワインの開発を行って来た。最初は、観光客に対してセラードアでテーブルワインを販売するという手法で普及を図った。やがて、そのエレガントなワインが評判となった。さらに、高級テーブルワインの生産と家族経営を強調した販売政策の成功もあって、今では年間20万ケースを販売する大ワイナリーとなっている。ヴィクトリア州の中でも一番冷涼ともいわれる標高700mの高地にブドウ園を所有しており、涼しい気候を利用した高品質のワインが造られている。

この産地には、ヴィクトリア様式の建物が多く残されていて、ワイン産地巡りとしては、最も魅力的な地域の一つでもある。