SOUTHWEST Cahors

 Cahors-Gaillac WineMap

 

カオールもガイヤックも、その葡萄畑の歴史は古く、ガロ・ローマ時代である。
ボルドーが名を馳せるはるか以前から名声を博していた。 特にカオールは中世ローマ法王愛飲のワインであった。

カオールの町のシンボル、塔と7つのアーチの美しいヴァレント橋は、中世大学都市として栄えた威光の名残である。

中世の栄光の座にあったカオールのワインは、百年戦争後、ボルドー優遇政策のあおりを受け、ボルドーワインの補強用として長い間陰に隠れた存在であった。

古典品種のオーセロワ種の独自の個性的ワインの復活はフィロキセラ過以降である。

ガイヤックの中心の町アルビも、ピンクや黄土色の建物がいくつもの層をなし、それが城塞を見下ろしてそびえる教会を取り囲んでいて、繁栄した中世の面影を色濃く持っている。
アルビジョワ十字軍の由来となったこの町は、画家ロートレックの故郷でもあるが、「赤い散歩道」と言う観光コースがあり、美しい中世の町の姿を残している。

 

Cahors

 


 

AOC詳細

Cahors カオール

Cahors

このAOCは、ガロンヌ河の支流ロット川が、おそろしく蛇行する流域の両岸の台地に広がっている。 葡萄栽培に最適なこの地は、フランスでも最も古い葡萄栽培地の1つで、ガロ・ローマ時代から。中世には、既に名声を博していた。 イギリス人からは「ブラック・ワイン」と呼ばれていたカオールの<赤ワイン>は、力強さと、黒に近い濃厚な色彩が特徴。古典的な品種マルベック(この地ではオーセロワと言う)で作る場合は、ワインは濃厚で荒々しい輪郭を見せ、熟成によりよくなって、身の引き締まったものになる。 近年、メルロ種の比率の高い、まろやかで、軽いフルーティーな若飲みタイプも造られ、古典的品種のマルベックの特徴をはっきり持った力強いものと2つのタイプに分かれる。 造り手による品質の差が少なくない。 栽培地 

  • 品種
     <赤>マルベック(70%以上)、タナ、メルロ
  • 栽培地
     4,000ha

 

Mercillac


(マルシヤック)

このACは、地図には表示してないが、カオールからロット川を上流へ遡り、FIGIACの町の南東の標高300~600mの丘の斜面の畑のACである。1990年ACに認定された。
大陸性の気候だが、地中海からも大西洋からも影響を受けている。夏季は高温で乾燥する。粘土石灰岩質土壌。

フェル・セルヴァドゥという珍しい地元種(90%以上)を使って、カベルネを補助にした<赤>と<ロゼ>を造っている。
スパイシーでカシスの香りを持ち、リッチなタンニンが特徴。赤もロゼも共に若飲みタイプ。

生産量
 赤7,000hl、 ロゼ400hl (170ha)70,000hl (1,622ha)

Gaillac ガイヤック

このACの真中を流れるガロンヌ河の支流タルヌ川の流域は、フランスの最も古い葡萄栽培地の一つである。
大西洋と地中海との両方の気候の影響を受け、ACの指定を受けているのは3,500haだが、畑は10,000haをはるかに越えて広がっているから、出来るワインは一様ではない。
栽培品種も非常に多く、出きるワインも多彩である。大都市トゥールーズに隣接しているから、多彩にならざるを得なかったのであろう。

トゥールーズは、中世からこの地方の中心都市である。ブルジョワの町であり、商工業都市であり、学芸の町であり、大量のワインを飲み込む町でもある。 しかし、一般消費者がこの産地の特徴を知ることは容易ではない。とフランスのワイン評価本「Le Classment」は記している。

<赤>は、色合い濃く、力強い上にバランス良く、スパイシー。7~8年は充分耐える。
<白>は、両タイプがあり、辛口は、少し酸味に欠けるものの、香り高く、ボディーもあり繊細。
甘口は、モーザック種の特徴がよく出ていて、果実、花、蜂蜜等の複雑な香りを持ち力強い。4~5年待てば、一層よくなる。

なお、<白>には下記の別のACがある。

 

Gaillac Premieres Cotes


(ガイヤック・プルミエール・コート)

このACは、タルン川右岸の条件のよい畑を持つ11ヶ村で造るワインで、アルコール度や収穫などより厳しい規定を持つから、格上と言える。

<ロゼ>は、輝きのあるピンクで、フレッシュで、軽く飲みやすい。
<発泡ワイン>は、3種類ある。<ペルレ(Perle-真珠のような)>と言う果実香溢れる独特の「微発泡ワイン」とシャンパーニュ方式で造る「発泡ワイン」。 それに、<メソッド・ガイヤソワーズ(Methode Gaillacoise)>と呼ばれる、ティラージュを行わない、発酵途中で瓶詰めし、瓶内自然発酵の「伝統的発泡ワイン」と言うべきものがある。

なお、<白>とガメ種のマセラシオン・カルボニックで造る<赤>は、プリムール(新酒)が認められている。

  • 品種
     <赤・ロゼ>デュラス(Duras)・フェール・セルヴァドウ(Ferservadou)-地元種、シラー、カベルネ・ソーヴィニョン&フラン、ガメイ、メルロ。 <白>ラン・ド・レル-地元種、モーザック、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル。
  • 生産量
     赤:120,000hl、辛口白:50,000、半甘口白:9,000、ロゼ:14,000、泡:2,500hl、(3,500ha)

albi

Fronton フロントン

 Fronton

1974年にACに昇格したこのACは、<Côtes du Frontonnais (コート・デュ・フロントネ)>を名乗っていたが、 2005年に改名された。
<Côtes du Frontonnais>の後に、<Fronton>と<Villaudriv> と付記するACも、この改名で含まれる。

ガロンヌ河とタルヌ川に挟まれた台地のこのACは、中世からの葡萄畑で、「トゥールーズのワイン」として親しまれていた。そして、伝統的な地元種・ネグレットを守ってきた。
このネグレット種を50~70%使って<赤>と<ロゼ>を造っている。
<赤>は、色は濃いが、軽くフルーティー。滑らかな舌触りでファンは少なくない。よく熟成もするが、若いうちが好まれる。 ネグレット種の割合が多いものは力強く個性的。
<ロゼ>は、鮮やかなピンクから深みのあるガーネット色まで様々だが、果実味に彩られた爽やかな味わいを持つ。

  • 品種
     <赤・ロゼ>ネグレット、ガメ、サンソー、マルベック、シラー、カルベネ・ソーヴィニョン&フラン
  • 栽培地
     赤:90,000hl、ロゼ:20,300hl (2,400ha)