エミリア・ロマーニヤ州は、北のポー河と南のアペニン山脈に挟まれて東西に長く横たわっている。
州の中央を東西にエミリア街道が貫き、ローマ時代から交通の要衝として栄え発展した。
西の中心地ラヴェンナは、ローマ帝国衰退期には脚光を浴び、東ローマ帝国(ビザンチン)の支配下に入つてからも、その総督府として、行政、芸術(ビザンチン文化)の中心地として栄えた。
中世には、この街道沿いに位置するボローニャやパルマなどの諸都市が自治都市として繁栄し、やがてこの自治都市は、ポローニャのペンティヴォリオ家、フェッラーラのエステ家、パルマのファルネーゼ家など、有力な貴族が支配する都市国家を形成。芸術家を擁護する宮廷文化が花開き、小説家、詩人、画家がこの地に集また。こうして育まれた文化遺産がこの地域の都市に輝きを与え、現在、人気の観光地となっている。
今日では、ポー川による潅漑に恵まれた有数の穀倉地帯で、コムギ、トウモロコシ、野菜の栽培をはじめとする農業や有名なパルマの生ハムやパルメザンチーズに代表される酪農製品の生産地として名を馳せている。
工業面でも、機械工業や食品産業、陶器、衣料産業などが盛んである。州都はボローニャ。
葡萄栽培地は、ランブルスコで代表される北側の「エミリア地方」と、ローマ教皇の領土であったから、「ロマーニャ」と名付けられた南側の「ロマーニャ地方」のアペニン山脈沿いの丘陵地帯に大きく分けられるが、ここでは、産出するワインの詳細は、以下に記す。
アルバーナ種100%で、ボローニャからフォルリ、ラヴェンナにかけてのアペニン山脈沿いの丘陵地帯で造られる<白>。
アルバーナ種は古代ローマ時代からこの地方で栽培されてきた品種で、糖分を多く含むことから「マッキナ・ディ・ズッケロ(砂糖製造機)」と呼ばれていた。
1987年、イタリアで最初にDOCGになった白ワイン。
辛口から甘口、パッシートまで造る。
辛口は麦藁色で、しっかりした味わい。甘口は黄金色で、濃厚なブドウ果汁の香りと滑らかな果実の甘さを持つ。パッシートは琥珀色で、濃厚で独特な果実の甘い香りを含み、まろやかで飲み易い。アルコール分、辛口は12%以上。中甘・甘口は12%以上残糖44.5%以上。パッシートは熟成12ヶ月以上。
主生産者
Zerbina, Spalletti, Cerari, F.Paradiso,
(ゼルピーナ、スパッレッティ、チェラーリ、ファットリア・パラディーゾ)
ほぼ同一地域で造られる以下のDOCがある。
主生産者
主生産者
産地はボローニャの南東に広がる丘陵。そのモンテ・サンピエートロ地区で、土着品種・Pignoletto-ピニョレット種で造る<辛口白>は、以前から「Classico Pignoletto(クラッシッコ・ピニョレット)」と呼ばれていたが、2011年DOCGに昇格した。
主生産者
Santarosa, Vallona, Isola, Cinti Floriano,
(サンタローザ、ヴァッローナ、イゾラ、チンティ・フロリアーノ)
膨大な量の<弱発泡性赤ワイン>が、このランブルスコ種で造られていて、戦後一時期、大量にアメリカに輸出され名を知られた。
モデナを中心にエミリア地方のほぼ平地の砂地で栽培されている。大半はタンク内発酵で造るが、中には瓶内発酵のものもある。あまりタンニンを多く含まない爽やかな若飲みタイプで、辛口から甘口まで下記のタイプがある。
ROSSO-ロッソ
ROSATO-ロザート
FRIZZANTE-フリッツアンテ
SECCO-セツコ
ABBOCCATO-アッボッカート
AMABILE-アマービレ
DOLCE-ドルチェ
DOCでないランブルスコがあるが、これはあまりいいものはない。
本来の酸味の利いた辛口ないし半甘口の良質のランブルスコは以下の4つのDOC・ランブルスコ。
単独のDOCを名乗る。それぞれランブルスコの亜種で造るが、オリジンはソルバーラにあると言われている。(ランブルスコ種は、この地方で古くから育てらてきた品種で、古代ローマのプリニウスの「博物誌」では、「エナンティウム 」と言う名で呼ばれていたものである)
主生産者
主生産者
主生産者
主生産者
主生産者
La Stoppa, San Pietro, La Tosa, Lusenti,
(ラ・ストッパ、サン・ピエトロ、ラ・トーザ、ルゼンティ)