Campania等南部4州と島々・・・Puglia

Campania カンパーニア

カンパーニア州は、ラツィオ州の南に位置し、東はアペニン山脈、西は大きくティレニア海に開けている。ナポリが州都。
面積は中規模だが、人口密度はロンバルディア州についで最も高い州である。

古代ギリシャ人が植民して、「ネオポリス(新しい都)」と称したのがナポリと言う名の始まり。
古代から富と豊穣の地として知られ、古代ローマ人は、ここを「カンパーニア・フェリックス(幸多きカンパーニア)」と呼んでいた。豊かな土地と温暖な気候のため、古くから他民族の侵略が絶えず、何度も抗争の舞台となった。そして、その度に様々な異文化が取り込まれ、ナポリを中心に独特な文化が育まれてきた。

ナポリは世界三大美港のひとつとして知られるほか、対岸のソレント、カプリ島、さらに東方のヴェスヴイオ火山、ボンベイと共に、世界有数の観光地として多くの人々を魅きつけている。

現在、ナポリ周辺は重化学工業の拠点として発展しているが、その周辺の平野部は古くからの農業地帯で、小麦のほか、葡萄を始めとする果樹栽培が盛んに行われてきた。<

ヴェスヴィオ火山の麓では、「ラクリマ・クリステイ・デル・ヴェスヴィオ」の赤・白ワインが造られる。
内陸部でも上質なワインが造られることで知られ、「グレコ・デイ・トゥーフォ」や「フィアーノ・デイ・アヴェッリーノ」は魚介類によく合うDOCG白ワインとして有名。
赤ワインでは、南イタリアの最も優れたワインのひとつで、南イタリアで最初にDOCGの指定を受けた「タウラージ」がある。

Aglianico del Taburno(アリアニコ・デル・タブルノ)
は、2011年DOCGに昇格した。

DOCGと主要DOCワインの詳細情報を下記に記した。

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DOCG

Taurasi (タウラージ)
Taurasi

このDOCGは、タウラージ村を中心としたアヴェッリーノ地方の北東の丘陵地帯。使用される葡萄は、アリアニコ種85%以上、ピエディ・ロッソ種他が15%以下。3年間の熟成(リゼルヴァは4年)を必要とし、熟成には大樽、小樽の両方が使われている。

構成が非常にしっかりしていて、長期の熟成に耐えるワイン。
濃いルビー色で、熟成に従いガーネット色を帯びる。コショウに似た独特の濃密な香りを含み、酸が強く、コクがあり、タンニンも充分に感じられる力強いワイン。ピエモンテの長熟ワイン・バローロ、バルパレスコの弟分とも評価され、昔から「南イタリアで最も力強いワイン」と言われている。

アリアニコ種は、古代ローマ時代にギリシャから伝わった品種で、15世紀末のナポリ王国、アラゴン(スペイン)王朝期には、「エッレニコ」、「エッラニコ」(ギリシャ伝来の意)と呼ばれていた。(品種参照)
当時は、アヴェツリーノ周辺とヴェスヴィオ火山の麓に植えられていた。このワインを有名にしたのは、1720年に設立されたマストロベラルディーノ社で、アンジエロ・マストロベラルディーノは、南イタリアで初めてこのワインを世界に輸出し、「タウラージ」の名を世界に知らしめた。
また、現オーナーのアントニオ・マストロベラルディーノの尽力で、1993年には南イタリアのワインとして初めてDOCGに認められた。

主生産者
Terredora, Mastroberardino, Feudi di San Gregorio, Struzziero,
(テッレドーラ、マストロベラルディーノ、フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ、ストルッツィエーロ)

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Fiano di Avellino (フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ)
Avellino

このワインは、イルピーニア地方で最も歴史のあるワインの一つである。(2003年産からDOCGに昇格した)

産地はアヴェッリーノ周辺の標高500mの丘陵地帯。気候が冷涼なため、葡萄の収穫も10月と北部と変わらない。

フィアーノ種は、ラテン語でヴィティス・アピチアと呼ばれ、古代ローマ時代、アピ(ハチ)が寄ってくることからこう呼ばれるようになった。これがアピアーナとなり、アフィアーナ、フィアーノとなった。
このワインについては、シチリア王・フエデリーコ2世(1197~1250)の時代に書き残された資料にも記載がある。

非常に糖度の上がる品種で、発酵温度の調節が難かしく、ガスを含むワインだったが、近代に入り、アヴェッリーノ農学校と当地の伝統ある会社・マストロベラルディーノ社の努力によって、今日のような辛口に造られるようになった。
ワインは濃いめの麦藁色で、ナッツのような香りを含み、調和の取れた<辛口白>。イタリアを代表する長期熟成に耐える白ワインとしても知られている。

主生産者
Terredora, Mastroberardino, Feudi di San Gregorio, Struzziero,
(テッレドーラ、マストロベラルディーノ、フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ、ストルッツィエーロ)

Greco di Tufo (グレコ・ディ・トゥーフォ)
Tufo

アヴェッリーノの北方、中央カンパーニアの丘陵地帯で、トゥーフォと呼ばれる凝灰岩の土壌で、グレコ種から造られる<辛口白>。
2003年産から、フィアーノ同様DOCGに昇格した。

使用品種は、グレコ種85%以上、コーダ・ディ・ヴォルベ種15%以下。グレコ種は、名前の通りオリジンはギリシャ。ラテン語でアミネア・ジェミナ・マイヨールと呼ばれる品種で、ギリシャのテッサリア地方からペラスゴ人によって運ばれ、最初はヴェスヴィオ火山の麓に植えられていた。
ワインは、濃い麦藁色で、アーモンドの香りを含み、わずかな苦味の切れ味をもつ。新鮮さを持つ2~3年が飲み頃。

主生産者
Terredora, Mastroberardino, Feudi di San Gregorio, Caputo,
(テッレドーラ、マストロベラルディーノ、フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ、カプート)

Aglianico del Taburno (アリアニコ・デル・タブルノ)
Taburno

2011年DOCGに昇格した。
産地は、ベネヴェント近くのタブルノの丘陵、標高200~600mの畑。ワインは、アリアニコ種(85%以上)で造る<赤・ロゼ>。

ワインは、ルビー色で独特の香りを含み、なめらかな力強いワイン。
この地のアリアニコ種の栽培は古く、古代ローマ以前。この土地に住んだサムニウム人が先住民・エトルリア人の植えていた葡萄をこのアリアニコ種に植え替え、それが今日に至っている。

主生産者
Ocone, Cantina del Taburno, Fontanavecchia,
(オコーネ、カンティーナ・デル・タブルノ、フォンタナヴェッキア)

 

DOC

Compania 主要DOC

Falerno del Massico


(ファレルノ・デル・マッシコ)
Massico

産地は、カンパーニア州の北西部、ティレニア海沿岸のモンドラゴーからマッシコの丘陵地帯。
ここは、古代ローマ時代、「ファレルヌム」と言う銘酒が生まれた地であるが、現在の「ファレルノ」は、1960年ヴィッラ・マティルデ社によって再興されたのもである。
ワインはファランギーナ種から造る、緑がかった麦藁色でフレッシュな香りと風味を持つ<辛口白>とアリアノコ種とビエディ・ロッソ種で造る、濃いルビー色の果実香に富む辛口の<赤>。

 

主生産者
Villa Matilde, Moio Michele, Ruggiero Giuseppa,
(ヴィッラ・マティルデ、モイオ・ミケーレ、ルッジェロ・ジュゼッパ)

 

Vesuvio (ヴェスヴィオ)


このヴェスヴィオ火山の麓の畑は、ポンペイを埋め尽くした火山の爆発以前から葡萄が栽培されていたことはよく知られている。現在、ここで出来るワインはコーダ・ディ・ヴォルペ種から造られるミネラル感のある<白>。ピエディ・ロッソ種から造られる果実味のある<赤とロゼ>。

 

Lacryma Christi del Vesuvio


(ラクリマ・クリスティ・デル・ヴェスヴィオ)
このDOCはカンパーニア州で最も名前をよく知られている。アルコール分が12%を越え、並みのものより格上のワイン。

伝説によると、神の国の土地を持って逃げようとしたサターンが、ナポリの地でこれを落としてしまい、ナポリの街が出来た事になっている。ところが、この街の人々は悪の限りを尽くしていたため、天上からこれを見ていたキリストは悲しんで涙を流した。そこに、ブドウの樹が生え、素晴らしいワインが出来たと。このワインは、「ラクリマ・クリステイ(キリストの涙)」と名付けられた。

主生産者
Terredora, Mastroberardino, Feudi di San Gregorio, Sorrentino, Caputo,
(テッレドーラ、マストロベラルディーノ、フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ、ソッレンティーノ、カプート)

 

Vesuvio