サルデーニャ島は、イタリア半島の西、テレニア海に浮かぶ。北はボニファーチョ海峡を隔ててフランス領コルシカ島と対する。州都は島南部のカリアリ。
歴史的に、古代からフェニキア、ローマ、ビザンチンなど様々な国の支配を受けてきた。15世紀以降はスペインの圧政の下に置かれ、発展からは取り残された島であった。 18世紀にサヴォイア家に領有され、サルデーニャ王国を成立させるが、王国の首都はトレノで、その経済・文化の中心はイタリア本土のピエモンテにあった。それ故、サルデニア島の近代化は19世紀、統一イタリア成立以降である。
地中海でシチリア島に次ぐ大きな島ではあるが、農業には厳しい環境で、山岳地帯も丘陵地帯も高度は低いが岩石に覆われているところが多いから、昔からあまり豊かとは言えなかった。加えるに、海辺は異民族の略奪にさらされる危険が多いため、住民たちは内陸部に逃れ、コスタ・ズメラルダ(Costa Smeralda)に代表されるすばらしい海岸を持ちながら、近年まで海岸沿いに住むことはあまりなかった。イタリアの中では、全般に開発が遅れた地域と言える。
ワイン生産発展の歴史は浅く、19世紀以降である。しかし、近年、近代的醸造技術はこの島にも普及し、品質の高いものが作られている。
スペイン支配が長かったから、スペイン系の葡萄品種で造られているのが特徴である。赤はカリニャーノとカンノナウ種。白はヴェルメンティーノとヴァルナッチャ種。赤白ほぼ同量を産出する。DOC(G)ワインの割合は4分の1強。
全島をカバーするDOC&地図に表示していないDOCは別ページにした。 DOCとDOCGワインの詳細情報を下記に記す。
スペイン原産(ガルナッチャ・ブランカがオリジン)のヴェルメンティーノ種(95%以上)で造る<辛口白>。麦藁色で独特なデリケートな香り、柔らかな辛口で、肉付きよく口当たりまろやか。僅かに苦味を含む。爽やかな酸と潮風の造る微妙な旨味を持つ若飲みタイプ。
産地は、サルデーニャ島北東部、コスタ・ズメラルダ(Costa Smeralda)から島の中央部に向かって広がる、東はサッサリに、南はヌオーロに至る地域。北東部に浮かぶ島々を含む。
1950年代に地域内に3つの生産者組合が作られ、1975年DOC、1996年GDOCに昇格した。
主生産者
Capichera, Pedra Majore, Mancini, Depperu Andrea, Cantina Gallura,
(カピケーラ、ペドラ・マヨーレ、マンチーニ、デッペル・アンドレア、カンティーナ・ガッルーラ)
サルデーニャ島北西部・アルゲーロを中心とした周辺の村で昔からその名を知られていたワイン。
地方品種から国際品種まで多様な品種の使用が認められていて、<赤・白・ロゼ>を造る。
セッラ・モスカ社(Sella&Mosca)が牽引車で、個性ある魅力なワインを生み出している。
主生産者
主生産者
主生産者
Santadi, Sardus Pater, Calasettai,
(サンタディ、サルドゥス・パテル、カラセッタ)
島全島をカバーするDOCで、カンノナウ種90%以上で造る<赤・ロゼ>。サルデーニャの人々に広く親しまれたワインではあるが、「リクォローゾ」もあって、そのスタイルは多様で捉え難い。
本来、濃度の高い強い性格を持ったものだが、近年、飲みやすさを表に出した標準的タイプに多くが変わってきている。熟成により豊かな筋肉を増したリゼルヴァもある。
このDOCは、島全島をカバーし、モニカ種を主体(85%以上)とした<赤>。若飲みタイプ。
口当たりは柔らかく、ボディーも軽い。明るいルビー色でフルーティーな新鮮さが持ち味。
サルデーニャで、最も人気があるガブ飲みタイプ。
このDOCも島全島をカバーする。ヴェルメンティーノ種85%以上で造る<辛口白>。ワインは明るい麦藁色。わずかに苦味を含むフレッシュな味わいを持つ若飲みタイプ。島の観光客をもてなす手軽なワインだから、生産量も多い。スプマンテもある。