INTRODUCTION 保存・サーヴィス
ワインの保存とサービス

ワインの熟成

ワインには、若飲み(早飲み)タイプと熟成(長寿)タイプがある。 熟成(vieillissement)とは、壜詰めされたワインがゆっくりと複雑に変化することを言う。空気を遮断された壜の中で、ワインは洗練され、和らぎ、丸くなり、ブーケが造られ開花する。

ワインの変化は、色調に一番はっきり現われる。赤ワインの場合、年月を経ると、色調はレンガに似た赤橙色が次第に増してくる。こうしたワインは、煉瓦色(tuilee)と言われる。白ワイン、特に、 甘口の白ワインは、年月を経ると黄金色になり、やがて琉拍色に変化する。

香りも同じように変化する。ぶどうの品種の持つそれぞれのアロマは、 醸造中のみならず、樽で熟成する間にも生まれるが、壜の中でも年月と共に変化して、ワイン特有のブーケ(bouquet)が醸し出される。 樽の中では、木の香りやバニラの香りが移り、それが壜の中で成長し、皮革や野禽、茸、森の下草等の香りに変化する。

味の面では、赤ワインのタンニンの構造が変化する。若いワインによく ある生硬さと収斂性が消え、深みのある円やかなタンニンになって、ビロードような舌触りと共に、ワインに複雑さと厚みを加える。

ワインは生きている。

熟成向きワインは年月と共に、一般的には品質が向上する。とは言え、一定期間を経ると、ワインのブーケは消え、品質、タンニンとも衰え、水っぽくなり、取り柄のないワインになってしまう。 従って、そのワインの持つ適正時期に開けられるのが肝心で、賞味期限が切れないよう注意する必要がある。10年~20年以上渡る長期熟成に耐え得るワインはそう多くは無い。 ワインの適正保存期間は、基本的に、ワインの種類(白、赤、ロゼ、辛口、甘口など)、産地(テロワール、気候、ブドウの品種など)、収穫年を示すヴインテージ、醸造と熟成で決まる。 古ければいいというものばかりではない。

 


 

セラー

熟成向きワインを保存するセラーば、ワインの味を向上させるために、以下の要素を備えている必要がある。

まず、理想の温度は12℃であるが、8~15℃の範囲内であれば許容範囲と言える。 ともかく、温度が一定していることが肝心である。温度差は、 ワインの早期熟成を進める。

次に、湿度であるが、栓の弾性を保ち、壜から液体が絶対漏れないようにするために、適度の湿度が必要である。65~80%の湿度であれば栓は乾燥せず、キャプシュールもラベルも変質しない。 また、品質維持には、栓を常に壜の首の部分のワインに触れさせて置く必要がある。壜を横に寝かせて保存するのはそのためである。
ワインのゆるやかな成長のために、薄暗い場所で、振動がなく、通気がよく、 匂いの無い事が大切で、熟成向きのワインの壜がみな濃いくすんだ色をしているのは、光がワインの熟成を早めるからである。

セラーがない場合には、保存の最適条件を満たすキャビネット型の市販のセラーがある。また、数本ならば数週間、戸棚や涼しい部屋の暗いところで保存してもよい。
ワインが壌詰めされた直後や搬送されてきた直後は、ばらく休ませておくことも、透明度を高め、おいしく飲む方法の一つである。

 

ワイン セラー

 

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サービス

きれば、無色のクリスタルグラスで、なるべく薄手のものがいい。
ワインが温まらないように、また色や清澄度を堪能できるように、長い足のものであることが大切で、形は「チューリップ型」のものがいい。 飲み口の部分が狭まっているので、ワインの香.りを敏感にとらえやすいから。

シャンパンやクレマンの様な発泡酒には、フルートグラスを用いる。すらりとした長身のグラスの中で、細かい泡がゆっくりとあらわれ、微妙な芳香をよりよく楽しむことができるから。
グラスー杯にワインを注がないことが大切。グラスの中でワインを動かし, アロマをよりよく発散させることができるように、せいぜいグラスの3分の2程度に留めるべきである。

温度


ワインによって、味わう時の理想的な温度は異なる。 4℃以下で冷え過ぎていると、ワインの芳香は充分に発散する事が出来ないし、 舌の感覚も鈍くなる。また、 温度が高過ぎると、ワインが重くなり、アルコール度が高いように感じ、フレッシュさに欠ける。
*4℃で冷やした白ワインを室温19℃に置くと、5分も経てば8℃に上がる。更に30分も経てば、14℃にも上がってしまう。と言う事は冷やし方が足りないより、冷やし過ぎの方がまだまし。

 

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ワインの冷やし方
ワインをてっとり早く冷やすにば、氷水の人ったワインクーラーを利用するのが最も簡単な方法である。ワインの壜をこの氷水に漬ける。銀メッキされた金属製か陶器のクラセット(冷却容器)に入れておけば、2~3時間はワインの温度が一定に保たれる。
温度が上がるほど、甘みの特性は重たく感じられ、酸味はより舌を突き刺すような感じとなる。そのため白ワインは冷やして飲む必要がある。
炭酸ガスは、温度が高いと、より強く発泡する傾向がある。 シヤンパンやその他の発泡性ワインは、ガスの発散が繊細で心地よく飲めるよう充分に冷やして供することが求められるのはそのため。

ワインを室温にすることを「シャンプレ」と言う。 室温にすると言っても、暖房の効いた室温は20℃を越えることもあるので、 注意が必要。要はワインを飲む最適温度の16~17℃にすることである。 温度が低いほど、ワインの中のタンニンの感覚は強調される。長熟の赤ワインや、 コクのあるワインをシャンプレしなければならないのはそのためである。 赤ワインでも軽いタイプのものは、どいらかと言えば冷やして飲む方が より味わい深いものが少なくない。

 

デカンタ

6~7年以上保存された赤ワインは、色素の沈殿物があっても、それは当たり前のことである。しかし、この沈殿物が混じるとワインの味を損なうこともあるから、この沈殿物を取り除くために、デカンタシオンを行うのであるが、空気に触れさせて、香りの発散を促す意味もある。

*長く保存されたワインを、空気に触れさせておくと言う事で、飲む数時間前に開けておくことがよく見られるが、これは殆ど意味が無い。何故なら、空気に触れる壜の頚部の面積はしれたものだから、ワインが空気を吸い込んで香りの発散を促すには不十分である。