RHÔNE Northern Rhône
北部ローヌのブドウ畑は、ヴイエンヌからヴアランスに至るローヌ河の左右にある。中央山塊の高原を浸食しながら流れるロー河を見下ろす花崗岩質の丘の斜面(コートロテイ、コンドノウ、サン・ジョゼフ)と沖積土の平原(クローズ・エルミタージュ)に広がって点在している。

地理的に非常に範囲の限定されたクリュ(コルナスの並はずれた段丘やエルミタージュの堂々とした丘など)が固まった地方であるのは南部ローヌと対照的である。

又、北部では単一のブドウからワインが造られるが(赤ワインの場合にはシラー、白ワインの場合にはヴイオニュかマルサンヌ)、南部では、グルナッシュを主流に数種のブドウをうまく組み合わせて造られる。北部と南部では遣り方に大きな違いがある。

北部のワインは、当たりはずれが少ないが、生産量が限られているため、値段も高い。

 


 

Côtes-Rôtie コート・ローティ

Côtes-Rôtie
アンピュイの町を中心にしたローヌ河沿いの右岸の急斜面がコート・ロティ。「焼けた丘」を意味する。歴史は古くローマ時代に遡り、「ヴィエンヌのワイン」と呼ばれ、ローマの要人たちに人気があった。 フィロキセラ禍以降荒廃していたが、1950年以後修復が進み、ここ30年程の間に名声を取り戻した。

花崗岩系の土壌とドイツのモーゼルのような厳しい急斜面の地形が特徴で、機械化は出来ない。特に、コート・ブリュンヌ(茶色の丘)とコート・ブロンド(金色の丘)は、 歴史的にも有名。この2つの名前は、この地の領主・モジロン公爵に、ブロンドとプリュンヌ(茶色) の髪の2人の娘がおり、この2つの丘を、この娘達に分け与えたと言う逸話に由来する。

ギガル社の造るコート・ブロンドのLa Moulineとコート・ブリュヌのLa LandonneとLa Turqueは、 ロバート・パーカーが絶賛した事から高値の付く特醸物。
仕込みも伝統的で、除便はしないで、果皮侵漬も2~3週間かけ、1~数年間樽で寝かせている。ワインは深い色調の赤色で、強烈な香りが特徴。 アルコール、酸、タンニンのバランス良く、南生まれには少ない優雅さもあり、高品質を誇っている。

  • 品種
     シラー、ヴィオニェ(20%まで混ぜる事が認められている)
  • 生産量
     8,790hl (242ha)  

 

Chateau-Grillet シャトー・グリエ

Chateau-Grillet

コンドリウの中の小さな一部分(Saint-Michel-sur-Rhone村の中)がこのシャトー・グリエで、ヴィオニェ種単独の辛口白ワインを産出する。
4haの極小の地区で、シャトー名がAC名、ワイン名になっている唯一の例。

名前は「焼け焦げた城」を意味する。コート・ローティーの畑同様、夏の強い太陽がジリジリと照りつける厳しい急斜面に畑があるからである。
名声はルイ13世の時代に博し、英国やロシアの宮廷で珍重されたと言う歴史を持ち、1820年から今日まで、Neyret-Gachet家が単独で所有。

ワインは、顕著な果実香を持ち、繊細で傑出したワイン。長寿。年間生産本数も1万本足らずで希少価値が高く、「ローヌのモンラッシェ」などと称えられる。

*30年ほど前までは、仏で最小のACだったが、現在の最小ACは、ヴォーヌ・ロマネ村のラ・ロマネ=0.8ha。

  • 品種
     <白>ヴィオニェ種100%
  • 生産量
     85hl (4ha) 
  •  

Condrieu コンドリウ

Condrieu

このAOCは、コート・ロティの南に接するローヌ河右岸。花崗岩の斜面だけでなく平地部も畑があるが、5つの村に分散し、実際の耕作面積はそう広くはない。
ここもフィロキセラ禍以降衰退し、1980年代に入って活性化した。

ヴィオニェ種から造られるワインは辛口白で、アルコールは強くないが、 果実香の密度が高い、桃、蜂蜜、アプリコットにたとえられる。
若いうちに飲んでもよいが、数年立つと頂点に達する。特に、<Cote Chatillon>や<Coteau du Chery>は秀逸と称されている区画。 品薄で割高。このACは造り手を選ぶことが肝心。

コンドリウの町の起源は古く、カロ・ローマ時代に遡る。ローヌ河の河港の町として栄えた。
中世から19世紀末の鉄道開通までは、河川水運業は隆盛を極め、ロワール地方のワインの輸出に大きく貢献した町である。

  • 品種
     <白>ヴィオニェ(主力的に栽培しているのは仏ではここだけ)
  • 生産量
     5,117hl (133ha)
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St-Joseph サン・ジョゼフ

St-Joseph

このAOCは、ローヌ河右岸南北50kmに広がる23ケ村。

赤が主体。対岸の<クローズ・エルミタージュ>と品種もAOC規制もほぼ同じ。 従ってワインも同じタイプ。
北部ローヌでは、<クローズ・エルミタージュ>に次ぐ広さの生産地区なので、エルミタージュの一流品に近づくものもあるが、品質のバラつきが大きい。造り手を選ぶことが肝心。

<赤>は、深みのあるルビー色で、すみれと野の桑の実のアロマがあり、甘草のタッチを持つ。ボディーはしなやか。
<白>緑を帯びた黄色で、香り豊か、爽やかで優しい若飲みタイプ。生産量は少なく、全体の10%強。

「サン・ジョセフ」と言う名前は、イエズス会修道院が、トゥルノン・シュル・ローヌと言う町の、小さな丘に与えた聖人の名前に由来する。この丘を町の人は「サン・ジョセフ」と通称名で呼んでいたことからきている。従って通常の、コミューン(市町村)名のAC名称ではない。

  • 品種
     <赤>シラー、ルーサンヌ&マルサンヌ(10%以内)<白>ルーサンヌ、マルサンヌ
  • 生産量
     赤:36,828hl、 白:3,556hl (1,100ha)
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Hermitage エルミタージュ

Hermitage

ローヌワインで、昔から変わらぬ評価を受けていた名酒は、このエルミタージュ。
ローヌ河の奇観と言われる畑は、すり鉢上の巨大な丘の段々畑で、左岸に位置する。対岸がACサン・ジョセフ。

<赤>は、カシス、フランボワーズの強烈で余韻の長いブーケがあり、数年寝かせてはじめて、しなやかさと緻密さを増す長寿タイプ。
このACの中で、秀逸なワインを造る区画として、<Le Meal><Les Greffieux><L'ermite>などは名高い。

<白>は、フル・ボディーでアルコール度も高く力強いが、若干優美さに欠ける。多くは早飲みタイプ。
Vin de Paille(ヴァン・ド・パイユ・・・藁の上で干した葡萄から造る甘口白)も造られている。

エルミタージュはローマ時代に起源を持つ。13世紀、アルビジョア十字軍に参加した騎士のG・D・ステランベールが、ここに隠棲し(Hermitageは「隠者の庵」の意)、この地の葡萄畑を開墾したと一般には言われている。
タンの村の丘の頂きにある修道院は、かっては多くの旅人が利用した宿泊地。
17世紀には仏宮廷の御用達ワインで、18世紀にはその色調の濃さが見込まれて、ボルドーの補強用にも使われ、ラフィットも混ぜたと言われている。

  • 品種
     <赤>シラー、ルーサンヌ&マルサンヌ(15%以内)<白>マルサンヌ、ルーサンス
  • 生産量
     赤:3,740hl、 白:1,229hl、 (137ha)
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Crozes-Hermitage クローズ・エルミタージュ

Crozes-Hermitage

エルミタージュの丘を挟んで南北2つの平地部がこのAOCで、11ヶ村を含むローヌ北部最大の生産。その生産量も北部ローヌの約60%を占める。

土壌は花崗岩系だが、ローヌ河が、その昔エルミタージュの丘の東を流れていたこともあって、多様に変化している。
そうした土壌に加え、造り手の違いもあって、このACはエルミタージュより総体的におとなしく、品質も1ランク落ちると言われている。 秀逸なものも少なくないが品質のバラツキは大きい。
10%程度だが、白も造っている。

湖畔のタン・エルミタージュ村は、教会を中心に、ワイン専門店、大手ネゴシアン事務所、生産者協同組合のカーヴなどが集中している。ローヌ・ワイン街道巡りには欠かせない村のひとつ。

  • 品種
     <AC・エルミタージュ>に同じ。
  • 生産量
     赤:59,261hl、白:3,967hl (1,467ha)
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Cornas コルナス

Cornas

このAOCは、ヴァランスの対岸の小地区。AC・サンジョセフの南に繫がる。
ケルト語で「焼けた大地」を意味するコルナスの畑は、太陽がジリジリ照り付ける険しい斜面に階段状に広がっている。

ワインはシラー100%で造る赤のみ。
一般的には北部ローヌの赤ワインはシラーで造るが、シラー特有の強い渋みを和らげるため、ヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌなどを若干補助品種として使うことを規定している。 しかし、このAC・コルナスはその規定を持たない。そのため、タンニンの強い色の濃い野性味あふれるワインが生まれ、かっては、「頭がクラクラする」と言われていた。

ローヌで最も濃厚な赤と評されることがあるが、若いうちは頑強でその真価を見せない。7~8年以上の熟成必要。ワインの品質は<エルミタージュ>に次ぐと言われている。

  • 品種
     <赤>シラー100%
  • 生産量
     4,297hl (116ha)
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St-Péray サン・ペレイ

 St-Péray

<コルナス>の南に地続きで大きく広がる地区だが、畑は分散していている。
起伏に富んだ丘の急斜面の畑で栽培される伝統的品種から、辛口白ワインと発泡酒を造る。
8割が発泡酒で、シャンパン製法によるしっかりしたボディーを持つ辛口(ノン・ヴィンテージ)。

非発泡酒の白もあり、肉づき良く、草のような感じやナッツの風味を持つ爽やかな辛口。若飲みタイプ。

この地の発泡酒はロシア皇帝や英国のヴィクトリア女王にも愛飲されたが、モーパッサンや詩人のラマルティーヌなどの作品の中で賞賛されてもいる。AC認定も早く1936年。

  • 品種
     <白>マルサンヌ、ルーサンヌ
  • 生産量
     2,573hl (65ha)
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Clairette de Die クレレット・ド・ディ

Clairette de Die

ローヌ河の支流で、アルプスから流れ出るドローム(Drome)川を遡って、その中流域にあるこの地域は、アルプスの前山地帯とも言われ、地中化性気候の北限にあり、山裾にあるから冷涼。
その片岩質泥灰土の土地を、「黒い土地」と当地の人は呼び、古くから白ワインを造っていたが、フィロキセラ禍以降、あまりパッとしたワインを送り出していなかった。
しかし、1950年代に入り、協同組合が近代設備で酒造りを始め面目を一新した。

現在、大量の<発泡ワイン>を造っていて、3種類あって、それぞれ個別のACを名乗る。
このACは、シャンパーニュと同様の瓶内二次発酵方式で造られる。9ヶ月以上の熟成が規定されている。
使用品種、クレレット100%の辛口白の<発泡ワイン>である。
生産量
6,475hl (111ha)

Clairette de Die Methode Dioise Ancestrale

(クレレット・ド・ディ・メトード・ディオワーズ・アンセストラル)

「先祖伝来(Ancestrale)の製法」で造られる甘口白のもので、その製法は果汁の発酵が完全に終わらないうちに瓶詰めして、葡萄に含まれる自然の糖分のみで瓶内で自然発酵させる方式。(リクール・ド・ティラージュを行わない)
使用品種は、ミュスカ(75%以上)とクレレット。
生産量
86,630hl (1,381ha)

Clemant de Die (クレマン・ド・ディ)

シャンパーニュと同様の瓶内二次発酵方式で造られ、12ヶ月以上の熟成が規定されている。
使用品種は、クレレット(55%以上)に、ミュスカとアリゴテを補助品種として使うことが認められている。
生産量
2,310hl (41ha)

なお、この地は、極僅かな生産量だが、<非発泡性白ワイン>も造っていて、以下の2つのACがある。

Coteaux de Die (コトー・ド・ディ)

使用品種、クレレット100%で造る<辛口白>。緑を帯びた淡い金色で、溌剌として繊細。若飲みタイプ。
生産量
147hl (3ha)

Chatillon-en-Diois

(シャティヨン・アン・ディオワ)

ほぼ産地は重なっているが、こちらは、使用品種がアリゴテとシャルドネで造られたもの。
少量だがガメで造る赤とロゼも含まれる。
生産量
1,946hl (40ha)

Vintage Chart

Vintage-northern_rhone maturity ratings