Western Australia ・・・(西オーストラリア州)

Westen Australia

オーストラリア・ワイン

西オーストラリア州は大陸の西側1/3を占めているオーストラリア最大の州である。
パースから南にかけての海岸沿いは、冬に雨が多く、夏に乾燥する地中海性気候であり、病害も少ないことから葡萄栽培には基本的に適している。

オーストラリア州では、1830年代、まずパースの周辺でブドウ栽培とワインの生産が小規模に行われた。
初期の葡萄栽培者の中に、ユーゴスラビア移民があったが、特に、19世紀後半から20世紀にかけて、更に第二次大戦後のユーゴスラビア人の移民によるブドウ栽培が、この州のワイン生産には、大きな影響を与えている。

生産量こそ、5%に過ぎないが、そのワインの品質はトップクラスで、熟成された/果実味と独特の口当たりの良さを併せ持っている

 

主要産地は、州の南西部に集中している。古くから白ワインで国内での人気を博してきたのは

Swan District(スワン・ディストリクト地区)


 

赤ワイン(カベルネ)産地としての名声を築き世界の注目を集めた

Margaret River(マーガレット・リヴァー地区)


 

前世紀後半から、冷涼な魅力ある可能性を秘めた

Great Southern(グレート・サザン地域)


であろう。

lin

 

Swan District (スワン・ディストリクト地区)
swan_valley

西オーストラリア州のワイン産地は、1960年以降に開発された比較的新しい産地と言える。
が、このスワン・ヴァレーだけは、西オーストラリア州における唯一の古くからの産地である。1834年に最初の葡萄が収穫されたと言う歴史を持つ。

最初にこの地で、葡萄を栽培してワインを造ったオリーブ・ファーム (Olive Farm)の地下セラーは現在も使われている。
しかし、ワイン産地として広く認知されるようになったのは、1937年にシュナン・ブランのブレンドの辛口白ワインをHoughton Wine (ホートン)が造り出したことによる。
現在、ホートンのホワイト・バーガンデイ(ヨーロッパの地名に神経質な輸出市場では、ホワイト・クラツシックと改名)は、オーストラリア大陸の西部ばかりか東部でも、安定した品質のお買い得品として定着している。

州都: Perth(パース)の北に広がるこの地域の気候は、栽培期の降雨量は167mと非常に少なく、暑い地中海性気候だが、フリーマントルの「ドクター」と呼ばれ、親しまれている南西の海風によってその暑さは和らげられる。

土壌は石の混ざった赤から黄色の埴土や砂質の沖積土で層は深く保水力は高い。
品種は、圧倒的にシュナン・ブランだが、ミュスカデルやセミヨン、シャルドネなど白ワイン品種が主に栽培されている。

著名ワイナリー:
Houghton Wine(ホートン)
Sandalford Wines(サンダルフォード)

Margaret River (マーガレット・リヴァー地区)
Margaret River

1970年代から卓越した赤ワイン(カベルネ)の産地として注目されるマーガレット・リヴァーは、大陸の東南端、パースの南250kmにあるナチュラリスト岬からリーウィン岬までの約1000㎞に渡る海岸沿いの海洋性気候の地域である。
数々のレストラン、ホテル、観光施設の整っている地域でもある。

インド洋の影響を強く受けるため、冬の気候が大変穏やかで、葡萄の樹が十分な休眠をとれないことと、春先の強風のために花つきが悪くなり、収穫量が減少する難点があると言われているが、夏は暖かく乾燥し、フリーマントル・ドクターと呼ばれる海風のために暑さがやわらげられる。それが凝縮された風味を持つ赤ワインを生んでいる。

土壌は多種多様だが、なかでもやせた赤いロームが最も価値が高いとされている。相対的に保水能力は低く、灌漑を必要としている。

マーガレット・リヴァーは、長寿の赤ワインを造る地域として、ボルドーやイタリアのボルゲリ、ナパ・ヴァレーなどと対比されるが、確かに極上のカベルネは、精妙さと円熟味を備えている。多くの生産者は、Cullen Wines(カレン)が典型だが、カベルネとメルローでボルドー・スタイルのブレンドを造っている。

1950年代カリフォルニアのオルモ教授の研究でワイン産地としての可能性を指摘された地域だが、1967年にVasseFelix(ヴァッス・フェリックス)が最初に葡萄栽培を始めた。
後に続いたのが、MossWooWineryd(モスウッド)、とCullenWines(サンダルフォード)も、この地に早々と大規模な葡萄園を造っているが、現在、この地のワイナリーは100を超え、葡萄栽培者も60を数える。

この地で、シャルドネやピノ・ノワールでも名を成したLeeuwinEstate(リーウイン・エステート)は、カリフォルニアのロバート・モンダヴイの助言を受けて、デニス・ホーガンが創設したワイナリーである。

Great Southern(グレート・サザン地域)
Great Southern

オーストラリア南西部の海岸線200km、北の内陸部に100kmに及ぶ地域で、沿岸は海洋性、内陸は大陸性の気候。オーストラリア随一の冷涼で降水量の多い地帯である。
土壌は、マーガレット・リバーと同様で、石の混ざった砂質壌土か、花崗岩、片麻岩の底岩から成る砂質壌土。茶色もしくは灰色で、埴土の割合は地区によって異なる。肥沃度は並、ブドウの収穫量も並。葡萄栽培地としての可能性は高く、将来性が期待されている。

この地域の草分けでは、Plantagenet Wines (プランタジュネット)が抜きんでていたが、現在は数多くの小規模栽培者が入植し、大手のワインメーカーと契約を結び、葡萄を供給している。

この地域は、以下のように小分割されたいる。

Mount Barker (マウント・パーカー)


は、良質なリースリングと香り豊かなシラーズが良く知られている。
Forest Hill Vineyard (フォレスト・ヒル)がワイナリーはデンマークにあるが、この地に広大な葡萄畑を持ち、1960年代からワインを造っている。

Denmark (デンマーク)


は、南の沿岸にあって雨が多く、温暖である。中小の栽培者が多く、ピノ・ノワール、シヤルドネとメルローが主品種。

Albany (アルバニー)


は、この一帯で一番人口が多く、ウエスタン・オーストラリア州内でヨーロッパ人が最初に定住した土地である。シラーズとピノ・ノワールが最適品種のようだ。

Prongorup (ボロングラップ)


は、上質のリースリングとピノ・ノワールを産する畑が多い。最近GIに指定された産地。

Frankland River(フランクランド・リヴァ一)


には1990年代後半、もっぱら税制上の優遇措置を受けるために多額の資本が投入された。マウント・パーカー西方の内陸に位置し、グレート・サザンで最も葡萄畑が多いが、ワイナリーの数は少ない。

最大の生産者は、比較的新しいFerngrove Vineyard(ファーングローヴ)であるが、Alkoomi Wines(アルクーミ)Frankland Estate(フランクランド・エステート)もよく知られている。
ウエストフィールド葡萄園は、Houghton(ホートン)の「ジャック・マン」銘柄の最高級のブレンド赤ワイン用に昔から葡萄を提供している。(グレート・サザンの名はラベルには表示きれていない)

Parth(州都・パース)

州都パースは、大陸の南東、シドニーから約4000kmに位置し、時差は2時間もある。
西オーストラリア州の建設は1829年に始まっている。当時フランスの艦隊がこの地の沿岸に出没し、オーストラリアへの植民の機会をうかがっていたため、イギリス政府としては、フランスの侵入を阻止するため、オーストラリアの海岸沿いの拠点に早急に入植を行い、植民地を建設する必要があった。

パースは、このような理由から植民地建設が行われ、当初、自由植民地として始まっている。しかしその後、労働力不足から1849年に流刑者を受け入れ、1868年までこれが続けられた。
西オーストラリア州は鉱物資源(金・鉄鉱石・ニッケル・アルミナ・ダイヤモンド)が豊富なため、この資源の度重なる発掘ラッシュによって成長した。現在、人口150万人のオーストラリア第4の都市である。