Chile Wine・・・Central Valley Rergion
チリCentral葡萄栽培地区

Maipo Valley (マイポ)

マイポ・ヴァレーのブドウ栽培は、大都市サンティアゴに近いことから、19世紀中葉、フィロキセラがヨーロッパの葡萄畑を荒らす前に、ボルドーから直輸入した苗木から始まった。
それが、チリを多様なボルドー系品種(カベルネ・ソーヴイニヨン、ソーヴイニヨン・ブラン、メルロー、カルムネール)の宝庫にした始まりである。

マイポは、気温が最も高く、セントラル・ヴァレーでは最も小さな栽培地域だが、19世紀から続く伝統的な大手のワイナリー(コンチャ・イ・トロ、サンタ・リタ、サンタ・カロリーナ等)もあれば、1990年代に生まれた新興ワイナリーもある。
工業スケールの大規模農園から実験的で小規模ブティック・ワイナリー、又、有機栽培の農園まで、実に多種多様なワイン造りが展開されている。加えて、近年は外国資本も参入している。
その中心に大都市サンティアゴ(人口600万)を抱えるこの産地は、名実ともにチリワインの中心である。

マイポは基本的にボルドー系の赤ワインの里であるが、「Alto Maipo-アルト・マイポ」と呼ばれる、アンデスの麓を這い登る栽培地は、アンデス山脈から吹き降ろす冷涼な風の影響で、昼夜の温度差が極めて大きい。それが、タンニンのしっかりした風味の良いワインを産む。

アルマヴイヴァ、アウレア・ドマス、カサレアル(サンタ・リタ)、ハラス・デ・ビルケ(ケプレダ・デ・マタル)、ヴイネード・チャドウイツタ(エラスリス)など、チリで最も賞賛されている赤ワインを生み出した。

*チリのDO(Denominacion de Origen)は、より小さい区画(エリア)も指定していて、このMaipoVarreyに関しては、ラベルにも表記されているものもあるので、以下に記す。

ALhue(アルウエ)、
Buin(ブイン)、
Isa de Maipo(イスラ・デ・マイポ)、
Maria Pinto(マリア・ピント)、
Melipilla(メリピージャ)、
Pirque(ピルケ)、
Puente Alto(プエンテ・アルト)、
Santiago(サンティアゴ)、
Talagante(タラガンテ)

 

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Cachapoal Valley(カチャポアル・ヴァレー)

サンティアゴからパンアメリカン・ハイウェイを車で2時間ほど南下したところに位置するカチャポアル・ヴァレーは、海岸山脈とアンデス山脈に囲まれているから、渓谷内の夏場の気温は30度以上に上がる。
しかし、海岸山脈の渓谷から流れ込む海風と東側のアンデス山脈から流れ下る冷気で、夜間は冷やされるから、昼夜の寒暖の差は大きい。
それが色のしっかりした、フルーティーでかつまろやかなワインを生んでいる。また、比較的乾燥しているため、ほとんどすべてのブドウ園にはドリップ式灌漑が設置されている。

概して赤ワイン用ブドウの栽培地と言えるが、丘陵地帯の一部では高品質のシャルドネも栽培されている。カベルネは勿論だが、チリで最もメルローの栽培に適した産地のひとつとされている。近年、カルメネールの栽培も行われるようになった。
近隣のラペル湖は避暑用のコテージが多く、大衆的な観光地となっており、夏場にはウォータースポーツを楽しむ人々で賑わいを見せている。

 

Colchagua Valley (コルチャグア・ヴァレー)

サンティアゴから車で南へ約2時間30分のところに位置する。
ここ十数年でもっとも成長している産地で、丘陵地に向かって今なお拡大を続けている。

この地も昼夜の温度差は大きいが、海岸山脈に近い地域は、冷たい潮風の恩恵を受けて、フルーティーでバランスいいワインが生産される。主なワイン生産拠点は平野部のナンカグア、サンタ・クルス、パルミージャ、ペラリージョなど。
肥沃な平野部から離れ、痩せた土壌の丘陵地帯では、厳しい自然条件の中から、糖分、タンニンの凝縮されたブドウから、プレミアム・ワインが生産されている。特に、アパルタ、ニンケンといった産地は世界的なワイン専門誌でも注目される存在となっている。
外国投資も積極的に行われており、ラポストル・マルニエやロス・チャイルド・ラフィテなど、世界的に有名なワイナリーと地元ワイナリーとのジョイントベンチャーが実現されている。

メルローやカルメネールといった品種でも優れた成果を上げているが、この地域は特にカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適していると言われ、ここ十数年の間に同品種の栽培が顕著に拡大してきている。また、近年産地の大きな期待を集めている品種としてシラーがある。

コルチャグア・ヴァレーは、今ではチリ各地で行われるようになったワイン街道ツアー発祥の地である。中心の街サンタ・クルスには、産地の歴史をテーマとした博物館や5つ星ホテルもあり、毎年3月の収穫祭は農村の伝統料理とワインに舌鼓を打つ人々で大変賑わいを見せている。

Curico Valley (クリコー・ヴァレー)

すぐ南のマウレに次いでチリで2番目に大きいワイン生産地。19世紀末、フランス系品種のブドウが導入されて以来、チリの主要な大手ワイナリーの多くはこの地に居を構えてきた。
1979年にスペイン・バルセロナの有名なワイナリー、ミゲル・A・トーレスがこの地にワイナリーを設立した。それをきっかけとして、チリにおける葡萄栽培とワイン醸造技術の近代化が急速に進んだことは、チリではよく知られたエピソードである。「量より質」をポリシーとする名門トーレス家のチリ進出が重要な役割を果たした事は間違いない。
1990年代に、サン・ペドロがこの地に投資した葡萄畑は、南米最大で、1,200haもある。

テーノ(Teno)とロントゥエー(Lontue)の2本の河川によって潤うこの産地一帯は、冬場に700mmの雨が集中する地中海性気候に属している。
5ヶ月以上続く夏場は、沿岸山脈と太平洋高気圧の影響を受けて雲ひとつ無い晴天に恵まれるから、古くから農業地帯として発展してきた。 そのため、灌漑システムもよく整備されており、多彩なテロワールを生かした葡萄栽培が行われている。

現在この地域では、実に様々な品種のブドウが栽培されていて、赤ワイン用18種、白ワイン用14種もある。

 

Maule Valley (マウレ・ヴァレー)

チリにおけるワイン醸造用ブドウ栽培面積のおよそ半分を占めるチリ最大で、最古のワイン産地。
長らく大衆酒としてのワイン作りが行われてきた地域であるため、非灌漑地域でも栽培可能なスペイン系品種のパイスのブドウ畑がまだ残っている。

しかし、ここ十年ほどの間に、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、カルメネールなど、フランス系の優良品種への転換が着々と進んでいる。

広大なマウレ・ヴァレーは、地形・気候的に極めて変化に富んでいて、海岸に近いほど気候は温暖だが、アンデス山脈へ近づくにつれて温度が下がり雨量が増える。土壌も変化に富んでいて多様である。
このバラエティに富んだ自然条件が、理想的なテロワールを追求する造り手の探究心を掻き立てていて、赤ワイン用・白ワイン用ともに、多様な品種が栽培されている。

ワイナリーも、大手や外国資本で経営が行われる大規模なものから“ブティック”まで、様々である。
また、近年西南のカウケネス(Cauquenes)地域では有機栽培の本格的な取り組みも始められた。