Introduction

ラベルの読み方

DOCGワインのラベル表示

 

ラベルは産地(ワイン名による)、収穫年、生産者などの情報を提供する。
イタリアワインのラベルは、そのデザインが様々で非常に多様である。それが横文字に強い人でも結構苦労する。

 

収穫年など別ラベルになっていたり、瓶の後ろのラベルに記されていることも少なくない。
しかし、基本的には、複数のラベルに分かれていても、左図の事項が記されている。

 

商標が図の例のようにワイン名より大きくデザインされていることも、イタリアワインの特徴と言える。

lin

 

DOCとテーブルワインのラベル表示

 

DOCワインもテーブルワインも、記載事項はほぼ同じである。

違いは、上記の例で言えば、「DOCGワインであることを示す」部分が図のように異なる。

◆「DOCワイン」は、
Demominazione Di Origine Controllata

◆「テーブル・ワイン」は、
「V.d.T」の場合は、Vino Da Tavola
「I.G.T」の場合は、
Indicazione Geografica Tipica」との記載がある。

同じ品種を85%以上使用していれば、品種表示も出来る。

 

DOCとDOCG

イタリアワイン種類図解

 

イタリアが、フランスのAOC(1935年制定)に倣って、ワインを法的に特定し整備したのは1963年で、「DOC」が定められた。
1980年に、「DOC」の上位に「DOCG」を設けた。

従って、基本的に、「DOCG」「DOC」「VdT」の3つにクラス分けがなされた。そして、1992年、VdTの上位に、生産地の表示を義務付けた「IGT」を新設した。

lin

 

EUワイン規則

EUレベルでの格付けは、3段階で、それをイタリアの伝統的格付けに当てはめると下記のようになる。現在、イタリアワインの殆どが伝統的表示をしているが、EU表示(DOP&LGP)をしている生産者もいないわけではない。
1.DOP(保護原産地呼称ワイン)= DOCG & DOC
2.LGP(保護地理表示ワイン)= IGT
3.VINO(ヴィーノ)= VdT

lin

 

DOC(統制原産地呼称)


DOCワインは、産地と使用品種が限定され、生産量も制限規定がある。醸造方法や熟成期間に加え、色調,香り,味わい,アルコール含有量,酸度,その他の基準が定められている。
個々のDOCの規定の詳細は、その地域の生産者たち(品質保護協会等)によって決められ、
その案がローマにある国立原産地呼称委員会に提出され、委員会によって審議・決定される仕組みになっている。

*2015年現在、DOCは332銘柄、DOCGは73銘柄があり、栽培地は合せて212,000ha。

DOCG(統制保証僚産地呼)

DOCワインの上位に位地するDOCGワインは、DOCワインの中で「格別に評価の高い」ワインが持つ権威を国が保証するもので、必ずしも、一般的に言う「力強い偉大なワイン」に限らない。
「ワインに歴史と伝統があり、自然と文化と結びついていて、かつ内外での評価が高い」と言うことが条件である。

2011年現在、73銘柄がDOCGに認定されている。DOCGワインには瓶の頭に検査に合格したことを示す公式シールを貼ることになっている。

国の「保証」という点には批判的な意見もあり、又、現在認定されているDOCGに問題がないわけではない。しかし、DOCGはワインの生産者たちに国の専門試飲委員会による品質管理を義務づけるなどして、ワインの品質を向上させ,また、まがいものを一層造り難くしていることも確かである。

DOCGラベル

VdT(テーブル・ワイン)


VdTは、瓶詰時において,その使用品種,収穫年,原産地の表示の必要のないのもで、EUで認められた品種で、アルコール度が9%以上であれば、何処のブドウを使ってもいい。

IGT(限定産地表示テーブル・ワイン)


IGTは、テーブル・ワインの中の、特定の産地で特定の葡萄品種から造られるワインで、産地(州,県,地域)が特定出来、使用品種が明示されたワインである。同じ品種を85%以上使用すれば品種名も表示できる。(「スーパーIGT」参照)

*2011年現在、IGTは118銘柄があり、栽培地は148,000ha.

スパーIGT
近年、イタリアではIGTのカテゴリーのワインであるが、高価格で売られ、人気を集めるワインが多く生まれた。
これは1968年、トスカーナ中部の海岸に近い地域で造られた「サッシカイア」が登場した事に始まる。

「サッシカイア」は、国際品種を使い、DOCやDOCGの規定外の造り方をしたワインである。世に出ると、その品質の高さで、たちまち人気を博し、内外の市場で高い評価を受けた。この成功が一つの潮流を作り、「スパーIGT」と呼ばれる数多いワインを生み出していった。
国際品種(赤ではカベルネ・ソーヴイニョン、ピノ・ネロ、メルロー種、白ではシャルドネ、ソーヴイニヨン・ブラン種)を使ったものが大半であが、地元の伝統品種とこれらのブドウを組み合わせたワインも造られている。生産量を抑え小樽での熟成を行うものが殆どである。

サッシカイア

これらのワインは、DOCやDOCGの規定外の造り方をしているので、最初は「VdT」のカテゴリーに入れられていた。しかし、「一定地域のブドウを使用していることから「IGT」に組み込まれるようになった。(中には「サッシカイア」のようにDOCに認められたものもある。-1992年産より<ボルゲリDOC>)

価格は日本でも、かって二級酒の位地付けで、高価格な清酒が売られていたのと同じ様に、生産量が少ないこともあって、高価になり、DOCGワインよりも高い価格で売られているものが少なくない。


こうして、「スーパーIGT」と呼ばれる一部のIGTワインの出現により、もともと種類が多く、分かりにくいとされるイタリア・ワインがさらに解りにくくなったことも事実である。
従って、当Webでは、この種のワインを別格に取扱い、以下に、州別に、主要なワインをリスト・アップした。イタリアを南北3つにページ分けしたが、トスカーナはこの種のワインが最初に生まれた地域で数も多いから、別に設けた。リスト作成に当たって、林茂著「最新・基本イタリアワインー増補改訂第3版」を参考にさせて頂いた。

lin