California Sonoma county

Sonoma County Noth Coast

ソノマ(Sonoma)には、風光明媚な自然とカリフォルニアの歴史遺産とも言える建物が残っていて、以前から観光が盛んであったが、近年、ソノマのワイナリーを見学したり、ティスティングを楽しむツアーが盛んで、ここもナパ同様人気が高い。

カリフォルニア全域に言えることであるが、土地の気候は、寒流が流れる太平洋の霧の到達度とその結果生じる雲の量よって決まる。
ソノマは、全般的にナパよりはるかに涼しい。中でも午後4時から午前11時までの間、しばしば霧に覆われる南部が最も冷涼である。ソノマは、土地も広大な上に、土壌や気候が微妙に地域によって異なるため、多種類のブドウ品種を栽培している。栽培量もナパよりはるかに多い。
栽培主要品種は、全体としてはシャルドネの作付面積が一番多く、次いでカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、ジンファンデル、ピノ・ノワールと続く。

Sonoma Valley (ソノマ・ヴァレー)


Russian River Valley


(ロシアン・リヴァー・ヴァレー)

Green Valley(グリーン・ヴァレー)


と言ったソノマ南部の霧の深い地域は、寒過ぎて湿度が高いために1960年代の中頃までは、殆ど葡萄栽培は行われる事は無かった。しかし、その気候を逆手にとって、70~80年代の白ワインブームの時期に、シャルドネ、ピノ・ノワールなどのブルゴーニュ品種、あるいはリースリングのようなドイツ品種の栽培が始まり、現在、非常に良質な白ワインを産出している。

一方、

Chalk Hill (チョークヒル)


Alexande Valley (アレキサンダー・ヴァレー)


Knight Valley (ナイツ・ヴァレー)


Dry Creek Valley (ドライクリーク・ヴァレー)

のような、北部の霧の到達しない内陸の標高の高い温暖な栽培地ではカベルネ・ソーヴィニョンやメルロ、ジンファンデルなどが栽培されている。

それぞれのAVAは、南部北部の2つに分けて説明した。なお、最も冷涼な最南端の、
Los Carneros (カーネロス)は、Napaに跨るが、南部ソノマに加えた。

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Sonoma 南部AVA


この南部にある、かっては州都でもあったSONOMAは、サンフランシスコ・デ・ソラノ伝道団がこの地に最北の葡萄畑を開き、上質なワインをカリフォルニアで最初に生産したところである。

AVA:Los Carneros (カネ―ロス地区)
Los Carneros

 

AVAの境界線は、政治的要素に基づいて決められるケースが多い中で、このカーネロスはその微気候(マイクロクライメイト)が与える影響を基準に境界線が引かれている。
そのためこのAVAは、ソノマとナパの両カウンターに跨っている。Losの付かないCarnerosだけの名称も登録されている。

ソノマの南端、サン・パブロ湾に一番近いから最も冷涼な地区である。この地は、酪農で栄えていた地域だが、80年代後半~90年代に掛けて、にわかに葡萄の一大栽培地(シャルドネとピノ・ノワール)になった。
これは、仏・シャンパーニュのデタンジェ (Taittiger)やモエ(Moet Changon)、それに巨大企業ガロ (GALL)などがこの地のポテンシャルに大きな資本投下した結果である。
土壌は、ナパ・ヴァレーの谷底などよりもはるかに痩せた浅い粘土質ロームで、それが葡萄に活力を与える。サン・パブ口湾から冷涼な強風が葡萄の葉に吹きつけ、とりわけ午後の暑さを和らげるため、葡萄は晩熟になる。

カーネロスのワインはカリフォルニアでも有数のデリケートな仕上がりとなり、スパークリング・ワインの優れたベースワインとなっている。
非発泡ワインのシャルドネは生き生きとした酸味と果実香をもち、カリフォルニアの大半の地域よりも熟成する可能性を秘めている。
ピノ・ノワールは、ブルゴーニュから輸入されたクローン種ヘの移行の過渡期にあるが、ロシアン・リヴァー・ヴァレーのピノ・ノワールよりもはるかに軽く、ハープやチェリーの風味をもつ。カーネロスの気取らないピノ・ノワールは、カリフォルニアで最もブルゴーニュ風だと言える。

AVA:Sonoma Valley (ソノマ・ヴァレー地区)
Sonoma Valley
この地は、商業用ワインが最初に造られたれ歴史的場所だが、禁酒法時代に殆ど壊滅してしまった。回復はされたのは1960年代中頃から1970年代に掛けてである。
それをリードしたのはフランス産のオーク樽でピノ・ノワールとシャルドネを熟成させたハンゼル(HANZELL VINEYARDS)
サン・パブロ湾から流れ込む霧が冬は暖かく夏涼しい気候を作るこの地域は、ナパ・ヴァレー同様北に行くほど温暖になる。
谷の標高の高くない地にはシャルドネとピノ・ノワールの栽培が盛んである。自社畑を持つワイナリーも少なくないが、Durell(デュレル)LesPierres(レ・ピエール)などの大葡萄園が秀逸なシャルドネを多くのワイナリーに提供している。

西部の高地は、Sonoma Mountain・AVA(ソノマ・マウンティン)になっていて、霧が掛からず長い日照時間に恵まれて、カベルネを主としたボルドー品種、それに古くからのジンファンデルが栽培されている。代表格のLAUREL GLEN (ローレル・グレン)やBENZIGER FAMILY WINERY (ベンジガー)が良質のワインを造っている。

その北西部に新しいBennett Valley AVA (ベネット・ヴァレー)があり、代表品種はメルローとソーヴィニョン・ブラン。
東部の山側に、Moon Mountain AVA (ムーン・マウンテン)が、2013年認定され、シラー、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンがその高地で良好に育っている。

AVA:Russian River Valley (ロシアン・リヴァー・ヴァレー地区)
Russian River Valley
ロシアン・リヴァーがうねるように流れ、アメリカ杉ともみの木の森に囲まれた美しい地域である。
この地で、70~80年代の白ワインブームに植えられ、最ももてはやされた品種はシャルドネ。
出来る白ワインは、はっきりした酸味で整った骨格を持つ。そして、シャルドネの白ワイン以上に、この地が脚光を浴びるようになったのはピノ・ノワールだった。今や州内有数のピノ・ノワールの産地である。
ワインは長熟を見込めるものもあるが、総じて開放的で、果実味豊かで、魅惑的ではある。ブルゴーニュ風とは一味違う。
又、霧の掛からない標高の畑は昔から素晴らしいジンファンデルを世に出してきた。近年シラーも有望視されている。

代表的ワイナリーは、
WILLIAMS-SELYEM WINERY (ウィリアムズ・セリエム)
ROCHIOLI VINEYARDS (ロキオリ)
GARY FARRELL VINEYARDS (ギャリー・ファレル)

AVA:Green Valley (グリーク・ヴァレー地区)
Green Valley

 

この地はロシアン・リヴァー・ヴァレーAVAの中にあって、海に近い。西にある丘陵地が海からの直接の冷気は遮っているが、霧が発生し、非常に冷涼な地域。
スパークリング・ワインに特化したIRON HORSE VINEYARDS (アイアン・ホ-ス)により、1970年代に開発されて、任意的に独自のAVAとして扱われてきた区域である。
シャルドネとピノ・ノワールの産地である。

 

Sonoma 北部AVA

AVA: Dry Creek Valley (ドライクリーク・ヴァレー地区)
Dry Creek Valley

 

ヴァレーの谷底は、南から冷涼な霧が流れ込むから白品種、特にソーヴィニョン・ブランの栽培に適している。
代表格は、
Dry Creek Vineyard (トライク・リーク・ヴィンヤース)
Quivira Vineyards (キヴェラ)

霧の掛からない標高の高い土地は、19世紀イタリア人が入植した土地だが、砂利と赤粘土の混じりあった土壌で水はけがいい。
灌漑を行わずジンファンデルとカベルネで良質の赤ワインが出来る。

AVA: Alexande Valley (アレキサンダー・ヴァレー地区)
Alexande Valley

 

Healdburg (ヒールズバーグ)の町の北にある丘が太平洋からの霧を遮るから気候は温暖。
この暖かさがカベルネを濃厚な色付きに完熟させる。北部にはジンファンデルの古木や、イタリア品種のサンジョベーゼが植えられている。

川沿いの平坦な谷底の畑ではソーヴィニョン・ブランやシャルドネが植えられていて、この地の代表格は、アレキサンダー・マウンテン・エステート (Alexander Mountain Estate)で、若干高いところの畑で作るシャルドネは評価が高い。

AVA: Knight Valley (ナイツ・ヴァレー地区)
Knight Valley
ナパの西側の山の山頂に接するこの地区は、標高が高く、霧の立ち込める谷の上の位置にあるから温暖である。畑は、標高400~600mのところにある。

Benziger Family Winery (ベリンジャー・ファミリー) が最初にカベルネを植え、現在も支配的地域といえる。この地の唯一のワイナリーは、
PETERS FAMILY WINERY (ピーター・マイケル)は、
カベルネに加え、シャルドネも造っている。

AVA:Chalk Hill (チョークヒル地区)
Chalk Hill

 

石灰岩に似た白い地層があることから付けられた地名だが、石灰岩ではなく、この地のものは白い火山灰が多く混じっていることによる。
ロシアン・リヴァー・ヴァレーの東側の山麓にあってその標高は200~800フィート。霧はロシアン・リヴァー・ヴァレーに比べはるかに少ないから、気候は温暖。土壌は火山性で水はけがいい。
シャルドネに加えてソーヴィニョン・ブランも産する。ロシアン・リヴァー・ヴァレーのものより若干重口。

 

代表するワイナリーは、この地に広大な葡萄畑を持つCHALK HILL ESTATE VINEYARDS & WINERY (チョーク・ヒルズ・エステイト)
AVA: Sonoma Coast (ソノマ・コースト地区)
このAVAは、この地のSONOMA-CUTRER VINEYARDS (ソノマ・カトラー)などの生産者が域内の様々な産地のワインをブレンドして売り出したために造られたもので、地理的要因によって作られたものではない。
北のメンドシーノから南のサン・パブロ湾に広がる広大な区域で、ソノマで最も冷涼な地域である。

この南北に長く伸びる広大なAVAの中の北部に、2012年認定されたAVA Fort Ross Seaview (フォート・ロス・シービュー)がある。
高い標高と海に近い位置にあるため、日中の温度差が激しい。ピノ・ノワールが主品種だが、シラーも期待されている。 Sonoma Coast

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